第23章 23
『晋助はたまに悲しい眼をします。それが何かを教えてくれとは言いません。晋助が話してくれる時まで待つつもりです。けど、それを聞いてあたしには何か出来るのでしょうか?』
松陽先生はフッと笑う
「そこまで分かってくれていれば充分です。あの子にそんな眼をさせてしまうのは、きっと私が原因ですから。あなたなら晋助を光へ導いてくれるでしょう。私が出来なかったことです。朱音さん、晋助のことをよろしくお願いしますね」
『…はい!』
あたしにはそう答えるしかなかった
その時の松陽先生の眼も、晋助と同じあの悲しい眼をしていたから
「それと、あなたのこともね」
先生はニッコリ笑う
あぁ
何もかもお見通しなわけだ
この優しくて不思議な眼はどこかで見たことがある
その時外から言い争うような声が聞こえ、その声の主たち、晋助と銀八先生が病室へ入ってきた
そうだ
あの眼は
銀八先生の眼によく似ている