【ハイキュー!!】Assorted Box 短編集
第4章 告白〜放課後の教室で〜 (月島 蛍)
「ちょっと…そのまま動かないで。」
え…?
言われるままにジッとしていると、月島君の顔がだんだん近づいて来る。
そして、そのまま月島君の柔らかい唇が触れ…た!?
自分の心臓の音が耳の横で聞こえる。
なんで…キスしたんだろう。
私のファーストキスなのに…。
でも、不思議とショックはない…。
と言うより、嬉しいと思ってしまっている。
「私…月島君の事、好き…なの?」
いつもより近いところにある月島君の顔が、いつも通りの呆れ顔に変わる。
「ちょっと…冗談でしょ?僕の事好きだって今気付いたの…?あれだけ、いつも僕の事見てて…自覚なしとか…。」
はー。馬鹿らしい。なんて言いながら1人椅子に座って、何事もなかったかのようにプリントに再び取り掛かる。
え…?
私、そんなに月島君の事見てた?
いや、確かに見ていた。
月島君の優しさに気付いてから、あの不機嫌さに隠された優しさを見つけたくて。
私…月島君の事好きだったんだ。
「あの…私、月島君の事が好きです。」
私の言葉をゆっくり顔を上げる月島君。
「だから…君が僕の事を好きだなんて、とっくに知ってるよ…。」
「あっ…そっか。ごめんなさい。」
慌てて頭を下げる私に、立ち上がった月島君がゆっくりと近付いてくる。
「その分だと…僕の気持ちも全く気付いてないんでしょ?ったく、いい加減にしてよね。」
「え…あの…ごめんなさい。」
何だか怒った顔をして近付いてくる月島君に思わず謝ってしまう。
「だから、何を謝ってるのか知らないけど…好きだって言ってるんだけど?」
「ごめんなさ……え?」
私の様子に月島君がもう一度ため息をついてから、私をぐっと引き寄せた。
こ…これって、抱きしめられているんじゃ…。
「僕が好きでもない子の世話を焼くと思ってるの?いい加減気付きなよ。君以外の人はクラスの人も、排球部の人も、全員気付いてるんだけど。」
嘘じゃないんだ。
月島君と両想いなんだ!!
よく見慣れた呆れ顔。
なんで、今まで気付かなかったのだろう。
月島君はこんなに優しい顔をして、こちらを見ていたのに。
「あの…月島君、本当に私の事を好きなの?」
「………。そんなの何回も言うわけないでしょ。」
end.