第1章 ハイキュー!!音駒
さて、状況を整理しよう。
ここは駅付近の小さなカフェの中にある、四人掛けのテーブル席。
隣には、勝手に腕をつかんでまるで恋人のように寄り添っている長身の美人。
目の前には、194cmもあるバレー部所属の後輩。
「筑流さん、どういうことっスか?」
「落ちつけリエーフ。お前は今、多大な誤解をしている」
「俺…俺…筑流さんのこと信じてたのに…」
「ちょっと待て、人の話を聞け」
「俺をあざむいて、いつから姉ちゃんと付き合ってたんですかぁあ!?」
「だから人の話を聞けっ、誤解だっつってんだろうが!!」
右腕には長身美人なリエーフの姉ちゃんがくっついているため、しかたなく利き腕とは逆の左手でリエーフの頭をパシンッとたたく。
「痛い!筑流さんが酷いっ、夜久さんみたい……姉ちゃんが手に入ったら、俺のことなんてどうでもいいんだ」
「オレを女好きで手に入れる為なら何でもするゲス野郎みたいな言い方すんな」
「女嫌いなんですか?」
「好きに決まってんだろ」
なに当たり前なこと言ってんだ……って、なんで泣きそうな顔になるんだよ!?
「やっぱり…俺によくしてくれたのは、姉ちゃんが目的だったんですね…」
「そうだったの?ツクルくん」
「違ぇし。初対面で下の名前呼ぶな、リエーフ姉」
弟のリエーフですら、最初のうちは名字にさん付けだったぞ。
適度な距離をもとうぜ、オネーサン。
「えっ、初対面だったんスか?」
「初対面だなんてっ……あんなに強引に他の男からわたしを奪ってくれたじゃない!でもギラギラしてなくて、とっても優しくて紳士的で…」
「店の入り口塞いで邪魔だったナンパヤローを蹴り飛ばしたついでに絡まれてた女の人に大丈夫か声かけただけなんですけど」
たしかに邪魔な男を強引に入り口から退かしたけど、オネーサン奪ったわけじゃねーから。
ギラギラしてねーのも優しく紳士的に見えたのも、下心どころか他意がなんもねえからだよ。
つまり無関心だったワケだ。
…リエーフの姉ちゃん、思考回路どうなってんの?