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まだまだ青い白鳥たち

第1章 これからもずっと


「牛島くん!お願いします!本当に白鳥沢の男バレに憧れてて!お手伝いがしたいんです!」
「…俺に言われても何も解決してやれない。監督に直談判してくれないか」


牛島と、例のマネージャー志望の女子…だろうか。女バレの体育館まで何の用だろ。牛島は中にいる瀬見くんと私に気付くと、近くまでやってきた。


「…緑川、怪我…か?」
「あ、うん、ちょっと…」


瀬見くんに手を取られたまま私は答える。なんか不機嫌ぽい声だったけど、瀬見くんも結構背が高いから牛島の表情まではここから見えない。そんなにしつこくマネージャー懇願されてたのかな…。


「おー、若利。俺今日はなつみちゃん送ってから寮に戻るわ。この手だと荷物持つの辛いだろ。先生に言っといてくれ」
「…いや、いい。俺が送る。瀬見はもう上がれ」
「へ?…お、おい、俺のせいだしさ…」


なんだかよく分からないが、牛島が私を送る流れになってしまった。手は平気そうだし迷惑は掛けたくない。


「牛島、私なら大丈夫だよ。怪我は慣れてるし一人で帰れるよ」
「しかし、」
「牛島くん!お願いします!話だけでも聞いてください!」


マネージャー志望の子がまだ負けじと声を掛けてくる。このままだとこの女子は体育館から一歩も動きそうにない。


「…わかった。職員室まで一緒に行く。監督には自分から話してくれ。いいな」
「はい!ありがとう!牛島くん!」


なんとか決着はついたみたいだな。良かった良かった。鷲匠先生が女子マネを採用するとは思えないけど、話ぐらいは聞いてくれるよね、きっと。


「じゃあな、若利。なつみちゃんは送るから任せろって」
「…ああ」


私を送るって言った時は、らしくないほど強情だった牛島だけど、マネ志望女子の勢いに負けて職員室へ向かって行った。


「なつみちゃんと一緒に帰れるなんて、たまにはラッキーなこともあるもんだな」
「もう、怪我させといてそれは酷くない?」
「ごめんごめん」


瀬見くんの軽口に二人でケラケラと笑いながら、私達は帰り支度を始めるのだった。
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