第3章 【幼い頃の聖夜】
幼い頃の聖夜。
同い年の幼馴染二人は、お互いの両親と共にひとつ屋根の下に集まり、クリスマスパーティをしていた。
テーブルの上には、母親二人が腕によりをかけた豪勢な料理。
「雪みたぁい!」
「おいしいの?コレ?」
父親達が口に運ぶ、シュワシュワと雪解けのように、弾けるシャンパン。幼い二人は向かい合わせで座り、テーブルに顎を乗せ、シャンパンの中の泡を不思議そうに、ぱちぱちと瞼を瞬かせ、じっと見ていた。
食事を終えた頃……
「あ!雪!えっと…クリスマスに雪がつもると…ほわ、ほわい…?」
「ホワイトクリスマス」
はらりはらりと、
空から降り注ぐ白い雪。
リビングの窓を開けると二人は、
手を伸ばす。
「サンタさん。プレゼントとどけに来てくれるかな?」
「何、おねがいしたの?」
幼馴染の男の子がそう尋ねると、女の子はふわりと笑って、ぴょんぴょん飛びながら、リビングに飾られたクリスマスツリーの下から、一冊の絵本を取り戻ると……
あるページを開いた。
「このクツ!」
「……ガラスの靴?転けたら、ケガするよ」
男の子は眉毛をふにゅりと、真ん中に寄せ、少し困り顔。何故これが欲しいのか尋ねた。すると女の子は、もちもちした頬っぺたに人差し指をあてて、大きな瞳を上に向け……
「ん〜とね、ん〜とね……」
小さな体を左右に揺らして、
頭を軽く捻るように動かせた後。
ニッコリ笑う。
「プリンセスになりたいから!」
そう言って、
頬をピンク色に染めた。