第1章 【奇跡のはじまり……】
始まりは……11月某日
ある作者、三人の元に……
一通の同じ内容の手紙が届いた。
赤い封筒に
緑色のハートのシール。
差出人は「猿飛佐助」
慌てて、中を開ければ……
天邪鬼を愛する作者へ
【12月1日。本能寺跡に、奇跡が待っている】
それを読んだ瞬間、
「あ、天邪鬼……!?い、家康さまあぁぁぁぁ!」
苺まるけは、ぬくぬくと温まっていたコタツから這い出ると、コートとマフラーを掴み、玄関先で羽織って首に巻き付ける。靴を履き、鞄の中に財布、携帯、車の鍵が入っているかをゴソゴソと確認して、今にも転けそうになりながら……外へと飛び出す。
車に乗り込み、急いである場所まで移動。京都行きのバスを待った。その間に、携帯でビジネルホテルを予約。
吹き付ける冷たい風。
自販機で買った缶コーヒー。
それを頬にあて、温める。
今にも雪が降りだしそうな、
星が散らばる空の下。
顔を半分だけマフラーから出す。
書き手として大切な、
かじかむ手を擦り合わせ、
白い息を吐きながら……
目の前で、
開いた扉……
乗り込み、
一番後ろの左端に座れば、
奇跡を求め、バスは静かに走り出した。