第3章 戦国時代のX'mas ~準備編~
11月も終わりに近づいた頃
「(あ……)」
世話役の仕事で、各武将たちの御殿に行ったその帰り道。
陽菜は、あるお店の商品に目が止まり、惹かれるように、そのお店へ足を運ぶ。
「(……素敵…)」
しばらく、その商品をジーっと見ていると……
「あれ?陽菜?」
「あ、お姉ちゃん。」
そこへ、針子の依頼を受けて、仕上がった品物を届け終えた、姉の香菜が声をかけた。
「珍しいね。陽菜が反物屋さんに居るの。私の付き添いに付いて来るぐらいでしょ?」
「あ、うん。これ素敵だな~って思って…思わずお店に入ったの。」
「どれどれ?」
陽菜が指さす先を見る香菜。
それを見て、目を見開き………
「これ……男物だけど……?」
「……そうなの…///……あの、えっと…その……」
頬をじわじわと赤く染めていく妹の姿を見て、姉は瞬時に理解する。家康を想って見ていたと。
「…家康に……似合うな…って思って……///」
そして、その予想は的中していた。
ひょんなことから、タイムスリップに巻き込まれた姉妹。
平和な現代から、戦が絶えない戦国時代にやってきて、燃え盛る本能寺で、信長の命を救い、信長の命で安土城に住まわせてもらっている。
そして、いろいろなことがあったが、それを乗り越え、戦国武将の『徳川家康』と恋仲になった、妹の陽菜。
その恋仲の男を想って、恥ずかしそうに言う姿は、恋する女の顔で、とても愛らしい。
「も~♡本当に陽菜は可愛いな~♡♡」
妹が可愛くて仕方がない香菜は、妹をギューっと抱きしめた。