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【血界戦線】紳士と紅茶を

第5章 終局


※R15





 やっと手を離され(ついでに布団もどうにか敷いてもらい)、窓から差す昼の光に若干の罪悪感を覚えつつ。

「クラウスさん……ぁ……っ……」
「他に口づけてほしい場所は?」
「えと、肩の傷の跡……それと、ちょっと噛んで、ほしいです……」
「心得た」

 肩に熱。皮膚に決して傷をつけない、チクッとした痛み。

「ところでカイナ。一つ言いたいことが」
 私の肩をむき出しにし、ついでに胸も少しずつ露出させながらクラウスさんが言う。
「はい?」
「私は、君が心から望まない痛みを与える行為はするつもりはない」
「はあそうでしょうね……んっ……」
 胸を軽くついばまれ、顔が赤くなる。
「私のこの行為を誘発しているのは、いつも君だ」
「…………へ?」
 クラウスさん、お顔を上げちょっと笑う。

「私が下顎犬歯を君の肌に当てるとき、いつも君は例えようのないほど陶然とした表情を見せる。
 常の君には無いその顔を見たくて、つい――カイナ?」

 私は額に手を当て、顔真っ赤である。
「やっぱ止めましょう、手ぇつないで寝ましょう」
 ギギギと紳士の胸を手で押して逃げようとするが、
「意地悪を言わないでくれたまえ」
「うるさい! 変態!! 私が本当に嫌がってるなら止めてくれるんでしょう? じゃあ止めて下さい!!」
 しかし突っぱねる手を逆に取られ、甲にキスをされた。
 白くなった髪を撫でられ、愛おしそうに口づけられる。
「本当に愛らしい。私の言葉にこんなに顔を赤くして……」
 ぐるぐるな感情を整理出来ず、ちょっと涙目になったまぶたに口づけられた。
「カイナ……」
 抱きしめられ、そのままお布団に。大きな腕に身体が完全に包まれた。
 でもちょっと不安で、肩越しに振り返り、またキスをする。

「優しく、してくださいね?」
「もちろんだとも」

 力強い笑顔に安堵して、やっと身体の力を抜くことが出来た。
 
 …………


 …………

 くそっ! 何度もだまされてるのに! 信じるんじゃなかった!!
 この紳士の皮をかぶったケダモノを!!

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