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似てる私たち

第4章 新しい家族


相澤side

最初見たときは普通の子供だと思った。
風助さんに頼まれたときからめんどくさいと思っていたが年のわりにやたら落ち着いてる子だとも思った。
理解してる…もしそれを理解しているなら…

『もちろん…してますよ、父が頼ったってことは母関係でしょう…』
相「…ああ」
『…母は…?』
相「…消息不明だ」
『…っ!?』
俯きながら話していた顔をがばりとあげる。
その顔色はお世辞でもいいとはいえない。

『えっ…なっ…お母さん…いなくなっ…え…』
相「…ひとしきり大暴れしたあとすこしばかりだが薬を投与され落ち着きを取り持ちしたと思いきや、窓を割って飛び出していったそうだ、」
俺が何処に行ったかはまだわからないと言うとぼそりと小さな声でとある名前を口にする。

『…オールフォーワン』
相「!?…その名前をどこで知った。」
『電話口で聞こえたんです大きな声で叫んでたお母さんが…オールフォーワンを《殺す》っていう言葉が…もしかして…お母さんは…』
相「…正直にいって可能性は高いだろう、だが…オールフォーワンの消息も今の現状わかってない。もしかしたら…水蜜さんはわかっていたのかもな、」
『…』
少女の顔色が更に青くなる、そらそうだ、自分の父親…風助さんを亡くしたばかりなのだから、しかもその相手に水蜜さんが向かってるかも知れないっていう事実にこんな子供にはキツいってわかってはいたが…何故か言わないといけない気がした。
…伝えないといけない気がしたのだ、

『…わか…りまし…たっ…それでお父さんからの…言付けとは?』
相「…簡単に言やぁ俺にお前を託すって事だ。」
『…え』
相「俺がお前の親代わりになるってことだ、風助さんはどうもこの状況を予期していたようだ。」
『…っ』
…本当に泣きそうなのを我慢するやつだ。
大きな瞳からは今にでも大粒の涙がこぼれ落ちそうなのに、口を噛み締め耐える。
ほんと…今日の俺はどうかしてる。

ぎゅっ…
『…っ!?』
相「…泣いとけ、泣くことは悪いことじゃない」
『ひっ…あぐっ…』
相「…大丈夫だ。」
 …大丈夫だ。
『ううっ…うっ』
相「俺が必ず」
 …俺が必ず
『ひぅ…んんっ…』
相「お前を強くしてやるよ」
 …お前を一生守ってやるよ。

…あぁ…本当に今日の俺はどうかしてる…
口にしてる言葉と心の言葉が一致しないまま、俺は小さな体を撫で続けた
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