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12色のアイ

第6章 可愛い人ですね!?


「うぅ……大和さぁぁん!」
「おいおい。どうした。お前さん、いつもより酔うの早くない?」
「私の悩み、聞いてくれますよね!?」
「おいおい。ひとまず水飲んで落ち着こうぜ」
「い、一織くんのことなんですけど……」
「おいおい。さてはお前さん、人の話を聞く気がないな?」
今がどんな状況か簡単に言うと、大和さんとお酒を飲んで私が一方的に大和さんに悩み相談をしている。
大和さんには悪いが、問答無用で私の相談に乗ってもらおうと思う。
「それで?どうしたよ」
「………最近、一織くんが冷たいんです」
「は?」
「話しかけても返事してくれないし、おしゃれしても褒めてくれないし、髪型変えても気づいてくれないし、口を開けば怒ってばっかりで……」
「ああ。なんだそんなことか」
「そんなことってなんですか!?」
私は思わず勢いよく立ち上がった。
大和さんが倒れそうになったグラスを慌てて支える。
「私は、大和さんが『そんなこと』って言うようなことでも不安になるんです……」
気持ちを落ち着かせるため、近くにあった水を一気に飲み干した。
冷たい水が火照った身体を冷まして気持ちが良い。
「いや、俺の言い方が悪かった。ごめんな」
「いえ……私こそ怒鳴ってすみません。無理矢理付き合ってくださっているのに……」
「いいんだよ。たまにはお兄さんに甘えとけ」
「大和さん……」
「いい事教えてやるよ、百合」
「いい事……?」
「ああ。いいか、イチのあの冷たさはお前への愛情表現だ」
「……は?」
分からない。
大和さんの言っている意味が分からない。
「お前さんはな、あいつにすごい愛されてるよ。オレ達からしたらお前さん達は仲のいいカップルだよ」
「あの……もう一回、私にも分かるように説明してくれません?」
私は、酷く混乱した頭を必死に回転させた。
「んー……あれはあいつの性質というか性癖というか……。まぁ、とりあえずお兄さんが今から言う通りにしてみろよ」
「はぁ……」
「いいか。明後日、イチは1日オフだ。その時がチャンスだぞ」
「なんのですか?」
「イチに愛されてるって実感できる、だよ。明日の夜、お前は ーーー」
大和さんの言葉が呪文のように私の頭に響く。
魔法使い大和の言葉の魔力は、私を行動させるには十分すぎるほどだった。
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