第29章 ばかになった愛はこれから
カクカクと自分の意思に関係なく、身体が震える。
気持ちよくて、苦しくて、気持ちよくて、もうそんな事しか考えられなかった。
「百合ちゃん、大丈夫?酷くしてごめんね」
「百合、僕らの声聞こえてる?」
愛しい人たちの体温を感じる。
優しい声、私の大好きな声。
大好きで、大切な人……。
……本当に?
あれ、何か引っかかる感じがする。
「ねぇ、本当に大丈夫?聞こえてる?」
「も、もさ……」
「ん?なぁに?」
「すき、って、いってくださ……」
きっとこれで心の引っ掛かりも取れる。
だって私は二人が大好きだから。
「え、かわいい!!いいよ、たくさん言うね!!」
百さんにぎゅぅぅと抱きしめられる。
見た目よりも筋肉質な腕が、汗で湿った肌が心地良い。
「大好きだよ、百合ちゃん。なかなか一緒に居られる時間も作れないけど、本当はずっと一緒に居たいって思ってる。それくらい大好き」
嬉しい。
心がさっきとは違う感覚で満たされていく。
じわりと暖かくなってほっとする感じ。
「モモばっかりずるいよ」
後ろから千さんが百さんごと抱きしめる。
百さんよりは細いけど、私よりずっとしっかりした大好きな腕。
「僕だってモモに負けないくらい、百合が好きだよ。僕が誰か一人をこんなに欲しがったことなんて中々無いからね。百合のために曲が作れるくらい、大好き」
嬉しい。
また心が暖かくなっていく。
嬉しくて、嬉しくて、二人が大好きっていう気持ちが溢れて、止まらなくて、どうしようもなくて。
「も、もういっかい……」
「大好きを?」
「ちがっ、その、えっち……」
こんなに意識がはっきりしてる時に、自分から誘ったことなんて無かったかも。
二人の動きが止まってもどかしくて、自分で秘部に手を伸ばしてしまった。
「ひ、んっ、大好き、うれしくて、あ、うぁ……おく、じくじくして、とまらないの……おねが、はうっ、も、いっかいぃ……」
必死にいやらしくおねだりしていると、少し乱暴にベッドに倒された。
二人の瞳がいつになくギラギラしていて、少しの恐怖とたくさんの期待を感じてしまう。
私はこれでいい。
こうして愛される生活こそが、今の私にとって必要なんだ。
二人の熱い手や唇を受け止める。
これでいい、そう言い聞かせて僅かに残ったもやもやを見て見ぬ振りをした。
