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12色のアイ

第21章 酒は飲んでも呑まれるな


龍之介side

遅い。遅すぎる。
久しぶりに顔が見たいと思って百合さんの家を訪ねた。
午後9時ごろに連絡して、既読はついたし返信も返って来た。
どうやら飲み会があるみたいだけど、これは余りにも遅すぎるんじゃ無いか。
部屋の時計はもうすぐ11時を指す。
その時、ガチャリと玄関が開いた。
「東雲さん大丈夫っスかー?」
「あー…らいじょーぶ、らいじょーぶ」
「めちゃくちゃ酔ってるじゃないっスかー」
玄関からは聞き慣れない男の声と、酔った彼女の声。
ミシリと手の中で嫌な音をたてたスマホをソファの上に投げ捨て、玄関へと向かう。
「こりゃあ俺が介抱しないといけないっスね、って、ひっ!」
俺の顔を見た途端、赤かった男の顔が青くなる。
いけない。にこやかに。にこやかに。
「送ってくれてありがとうね」
「い、いえ、てか、十龍之介じゃ…」
「あはは!違いますよー!あんなにイケメンじゃないんで」
楽お得意の台詞を借りる。
「え、あ、そ、すか…」
一刻も早く彼女の身体から手を離して欲しい。
彼女を男から奪い抱き締める。
いいか、よく見ろ。
この人は俺の女だ。
「もうこんな事が無いように彼女にはよく言っておくよ。…今日はどうもありがとう」
「ひっ!ど、どういたしまして!」
ガチャン!扉が大きな音をたてて閉まる。
少し怖がらせすぎたか。まあいい、今は彼女の方が優先だ。
俺の腕の中でまどろむ彼女の顎を掴み、無理矢理キスをする。
「んむ!ん!ぁ、ん…りゅ、くるし」
声を、息を奪うように小さな口をむさぼる。
口を話した時には、彼女は肩で息をして必死に俺にしがみついていた。
「……酔いは、醒めた?」
さっきの男みたいに怖がらせないように優しく聞く。
「ん…醒めた…」
「遅かったね。どうしたの」
「部長に捕まって、逃げれなくて…」
ごめん。
そう言って俺の胸にすりすりと頬を寄せる。
いつもならこれで許してあげるところだけど、今日はそうはいかない。
「ね、あの男は誰?」
「男…?あ、後輩くん…。少しチャラいけど、いいこ」
「へぇ…。ね、もし今日俺が居なかったらあの男を部屋に入れてたの?」
「え?いや、入れないよ…」
「こんなに酔ってるのにどうやって抵抗するの?あいつ、君のこと狙ってたよ」
「え、ちょ、龍之介?」
「許せない。君に触れたあの男も。隙がある君も。……お仕置きが、必要だね」
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