• テキストサイズ

12色のアイ

第17章 食べ物の無駄遣い、ダメ、ゼッタイ


「環」
「んーー?」
「せっかく私の家に居るんだから構ってよ」
「俺今王様プリン食ってるからー」
「から?」
「食べ終わるまで待って」
プチン。
私の頭の中で何かが切れる音がした。
分かってた、分かってたよ?
環と何年幼馴染みしてると思ってんのよ。
環が王様プリン大好きなの分かってたよ?
でもさ、私たち恋人同士になったじゃない?
すこーしくらい彼女である私のこと構ってくれても良くない?
ほんとはこの不満を口に出したいけど、長年積み重ねて来た我慢癖のせいで言えたためしがない。
私は環と付き合えて死ぬほど嬉しいのに…。
環は私のこと好きじゃないのかな、とか余計なことを考えてしまう。
隣に座っている環は私のことに目もくれず、王様プリンを口に運んでは幸せそうに唸る。
くそっ!!王様プリンが羨ましい!!
このやりきれない気持ちを王様プリンを睨むことで何とか抑える。
「あーー、うまかった!!」
カタン、と空になった容器が机の上に置かれる。
やっと構ってもらえる!そう思っていた矢先、環の口から「もう一個ちょーだい?」という言葉。
いやいやいや、お前、さっき自分でなんて言ったか覚えてる?
「さっき、食べ終わったら構ってくれるって言わなかったっけ……?」
苦笑いをしながらそう尋ねる。
「言ったけどさ、一個食べるともう一個食べたくなるじゃん。だから、お願い?」
「う……」
「もう一個だけ」
「うぅ……………もう一個だけだからね………」
「やりーーー!!!!」
……私は環のお願いに弱い。
可愛くてついあげてしまうし、最近になっては環が家に来る前の日になると、無意識に環用の王様プリンを買っている私がいる。
私はがっくりと肩を落としながら冷蔵庫に向かい、冷えた王様プリンを手に取る。
「はい、どうぞ」
「あんがと」
環が二つ目の王様プリンを食べ始める。
その幸せそうな横顔を見ながら、私は思ったことをポロリとこぼしてしまった。
「抱かれたい男ランキングに入ってるのに、恋人の私を放って王様プリンの方に行っちゃうんだもんなぁ……」
環の手がピタリと止まる。
私はハッと気づいて、慌てて口を押さえた。
「そんなに構って欲しいわけ?」
口を押さえたままコクコクと頷く。
すると、環は少し考えるような仕草をしてから私の腕を引っ張った。
「な、何!?」
「構ってやんよ」
/ 215ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp