第5章 土方十四郎(R指定無し)
面接を受け、働く事が決まった時、私のココロは不安でいっぱいだった。
慣れない江戸、慣れない仕事、慣れない人間関係…
とにかく慣れない事だらけだった。慣れない事ながらも仕事に打ち込み、良い人間関係を築こうと頑張り続ける。1ヶ月程すると、江戸にも慣れ、良い友にも出会えた。
私の彼、土方十四郎に初めて会ったのは、それから3ヶ月後の事だった。
「うぅ…重いなぁ…流石にこの量の洗濯物はないでしょ…」
十四郎は廊下の反対方向から煙草を吸いながら歩いてきた。
「…お前…大丈夫か?その量…」
「えっ…えぇ。重いですけど大丈夫です。ご心配お掛けしました。」
「そうか…。いや、俺も手伝う。」
「いえっそんなっ…大丈夫です!副長さんに雑用なんてさせられません。」
「気にすんな。良い気分転換だ。近藤さんにも女子供には優しくしろと言われてるからな。」
「そうですか…?では、お言葉に甘えて…。」
十四郎は初めて会った時から優しかった。
その後も十四郎に会い、話す機会が何度かあり、私が十四郎を好きになるのにそう時間はかからなかった。しかし、私は女中、十四郎は副長…叶うはずのない恋…そう思っていた。