第23章 いざ!出陣!【23】
長谷部さんは蔵へと走った
蔵に着くと中を通り過ぎ別荘の玄関に足を踏入れる
そこにはきちんと揃えて置いてある私の靴があった
長谷部「主?どこに居るのですか?お茶が冷めてしまいますよ?」
長谷部さんは玄関を上がり次々と部屋を見ていくが誰も居ない
そうして家の一番奥にある私の部屋の扉が少し開いている事に気付いた
長谷部「主?」
長谷部さんはその扉をそっと開けると部屋の中、ベッドの上で眠っている私を見付けた
長谷部「主、ここに居たのですね」
長谷部さんは私を起こさないように静かに近寄ると私の手に写真が握られているのに気付いた
それをスッと抜き取り見てみれば
長谷部「主が幼い時に御両親と撮った写真でしたか…主…」
長谷部さんはその写真を私の机に置くと寝ている私の顔を覗きこんだ
長谷部「っ!?主…泣いていたのですか?」
私の目から溢れた涙の跡を長谷部さんは頬に手を添えながら親指の腹で拭いてくれた
『……う……ん?』
私は誰かに頬を撫でられている感触に目が覚めた
『……ん……あ…長谷部さん』
目を擦りなが起き上がると長谷部さんは私隣に腰掛けた
長谷部「主…」
『はい、ごめんなさい。すぐに行くって言ったのに寝てしまいました』
長谷部「そうですね、せっかくお茶を淹れて待って居たのに冷めてしまいましたよ」
『ぅあぃ…ごめんなさい』
長谷部「それと…」
長谷部さんはそこで言葉をきると少し怒ったような顔をして私を見ていた
『うぅ…ごめんなさい』
長谷部「…………………………」
長谷部さんが怖くなり目を反らすと俯いた。彼の手が私に伸びてきたのがわかり更に俯き肩を縮めた
そんな彼の手は私を優しく抱きしめた
『……え?長谷部さん?』
長谷部さんを腕の中で見上げるともう片方の涙の跡を拭ってくれた
長谷部「主?一人で泣かないで下さい。辛い事、悲しい事、皆で乗り越えて行きましょう」
『うん、ありがとう』
私も長谷部さんの背に手を回し抱きしめ返した
長谷部「主…?」
『ん?』
少し体を離し長谷部さんを見上げると
長谷部「まだ泣き足りないなら俺が可愛く啼かせてあげますよ?」
そうしてベッドへ押し倒された