第19章 いざ!出陣! 【19】
私は部屋へ駆け込むと襖をピシャッと閉めた
『ふぅ~………皆、本気で言ってんのかなぁ~?冗談?………うん!考えるのやめよう!』
そしてふと、隠し部屋に繋がる扉をみつめる
『あっ。浦島君と使ってから洗ってないや、掃除してこよーっと!』
ズボンの裾を捲り腕も捲って風呂場へいざ!出陣!
浴室へ入り扉を閉めシャワーヘッドを持ち蛇口をひねる
一通りお湯をかけると浴槽や床をゴシゴシと磨いていく
また一通り磨き終えるとシャワーで泡を流した
『ぉお✨ピッカピカ!これでよしっ!』
浴室から出て手足を拭いて部屋に戻るが眠くない…
そして私は閃いた!いつもお世話になっている皆にお礼をしようと!ここに来た時に持って来たリュックを手にとり中身を取り出すと、それを担ぎ廊下へ出た
行先はミカンの木!
ミカン採って明日、皆に配ろう!そう思ったのだった
本丸は皆、寝静まり少し不気味だったけど空には大きな満月が浮かんでいて思いの外、明るかった
そしてミカンの木にたどり着くと見上げる
ジャンプしたら手が届きそうな所に枝が伸びているのを見つけた
その枝に向かって走りジャンプすると枝を掴み足を振って体を大きく振子のように振ると勢いをつけて逆上がりをするようにして枝に登った
『ぅえーい!私やれば出来る子!』
太い幹に手をつきながら足をかけて登り立ち上がる
やっぱり高い所はコワイから下は見ないようにしていた
リュックを前に担ぎ直し手当たり次第ミカンを採ってリュックに詰め込んでいった
リュックがパンパンになるほど詰め込むと一息つく
『ふぅ~……えっ?えーー!?』
ミカン狩りに夢中になってかなり高い所まで登っていた
恐怖に襲われ動けなくなった私は情けなくも泣き出した
『ふぇ~ん…だれかぁ~ふぇ~ん』
助けて欲しいけど皆、寝てるし起こすのは気が引ける
そしてまた小さい声で泣き出した
『ふぇ~ん』
すると下の方からカサッと落ち葉を踏む音が聞こえると
山姥切「誰かいるのか?」
そこには木を見上げる広君がいた
『広君!?』
山姥切「主!?そんな所で何してるんだ?」
『あっ。えーっと寝てました』
山姥切「そうか、邪魔したな」
広君は踵を返し立ち去ろうとした
『ウソですー!ごめんなさい!ごめんなさい!』