第15章 いざ!出陣! 【15】
長谷部さんの肩の向こうで小狐丸さんが立ち上がろうとするのが見え、待てのジェスチャーをすると小狐丸さんは小さく溜息をついて座りなおしてくれた
『(小狐丸さん、気付いてくれてありがとう!後で髪、とかしてあげよーっと)』
そして私は辛うじて動かせる腕を長谷部さんの背中に回すと長谷部さんの肩に顔を埋めて、手入れをしてあげた
長谷部「主!?どうしたのですか!?大丈夫ですか!?…っ!主ー!ありがとうございます!一生ついていきます!もう離しません!」
長谷部さんは更にギューッと抱き付いて来た
『う゛っ!苦し…い…小狐丸さん…やっぱり助けて…』
私は小狐丸さんに手を伸ばすと
ゴンッ!
長谷部「いだっ!誰だ!?」
小狐丸「長谷部、いい加減にしてください、ぬしさまは返して貰いますよ」
そうして小狐丸さんは私を長谷部さんから救出してくれた
『ふぅ~苦しかった。小狐丸さん、ありがとう!………ひぃ~~!』
小狐丸さんにお礼を言った瞬間、姫抱っこされてる事に気付いて小狐丸さんの首に抱き付いた
小狐丸「ぬしさま!?どうしたのですか!?」
『高い所怖い~降ろして下さい~』
小狐丸「では、暫くこのままでいましょう」
『なんで!?』
小狐丸「ぬしさまが抱き付いていてくれるからです」
『やめろー!噛みつくよ!?』
小狐丸「良いですよ?その代わり私も噛みつきますよ?私のは痛いですよ?野生故…』
『えー!ごめんなさい!ごめんなさい!ごめんなさい!』
小狐丸「ははは!では、あちらで一緒に梨でも食べましょう」
『わーい!』
そして長谷部さんから少し離れた所で降ろして貰うと、また、小狐丸さんの胡座の上に座らせられた
『小狐丸さん?私、もう大丈夫だよ?』
小狐丸「ぬしさま?黙っていても分かりますよ?疲れていますね?」
『………う~ん、少しだけ?でも大丈夫だよ?』
そして私は足を前に投げ出し背中を小狐丸さんの胸にあずけると、ふっと体の力をぬいた。すると小狐丸さんの腕がお腹の辺りに回されキュッと抱きしめてくれた
『…………っ!(ヤバイ!こんな優しい人の温もり、いつ振りだろう…どうしよう…泣きそう…)』
小狐丸「??ぬしさま?」
『(はっ!)あっ!私、鶴丸と大倶利伽羅さん探して来る!』