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【YOI】ほろ苦く、そして甘い予感【男主&ユーリ】

第2章 僕と貴方の唇は


距離を詰めてきた礼之に、ユーリは無意識に後ずさる。
しかし、2人の腰掛けるベンチはあまり長くなかった為に危うくバランスを崩しそうになったが、すかさずユーリの背に礼之の腕が回されて事なきを得た。
「大丈夫ですか?」
「お、おぅ…って、近ぇよ!」
「だって、危なかったから。それに…」
うっすらと頬を染めて口ごもった礼之につられて、ユーリの鼓動も早くなる。
「僕とじゃ、嫌?」
「い、嫌とかそういう前にお前はいいのかよ!?」
「はい」
間髪迷いのない返事を聞いて、ユーリは半ばパニくりながらも真っ直ぐ礼之の青い瞳を見る。
「…貴方だって僕に対して何も思ってなかったら、ここには来てないでしょう?」
「ぅ…でも、俺はお前にそういった感情があるのかどうか、未だ良く判んねぇんだ。お前の事は嫌いじゃねぇ。俺と戦う為にガチで腕磨いてきた事には好感持ってっけど…」
視線を逸らそうとしても、礼之と密着した状態なのは変わらないので、ユーリは益々顔を赤くさせた。
「僕も、昨日の貴方とのキスがなかったら、自分の気持ちに気付かないままだった。だから…もう一度ちゃんと確かめたいんだ。僕に、ファーストキスのやり直しをさせて」
何処か切なげな懇願に、ユーリは「…好きにしろよ」と消え入るように答えると、ギュッと目を閉じた。
そのまま数秒ほど待っていたが、一向に礼之の気配が近付いてこないのに訝しむと、うっすらを目を開く。
すると、眼前で優しく微笑む礼之の瞳とぶつかった。
「…きれいな瞳。僕が昔ヌークシオの森で見た、白樺の若葉みたいだ」
「ぇ…?ぅ、…んっ」
夜空の雲が月の光を覆い隠した刹那、礼之はそれまでユーリの背に当てていた手に力を込めると、彼と唇を重ねた。
昨日とは違う、唇越しに相手の想いが吹き込まれるようなキス。
そういえば、あの時の自分も「彼」に対して今の礼之と同じ想いを抱いて──
すると、そんなユーリの様子に気付いたのか、少しだけ拗ねたような礼之の視線とぶつかる。
「他の事を考えるのは、マナー違反だよ」
一度唇を離した礼之が吐息混じりに呟くと、ユーリの鼻を軽く噛む。
突然の事に驚く間もなく、再度ユーリの唇は先程よりも深く塞がれた。
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