第5章 Shake it !
【翔side】
俺、決めたんだよ。
こんな状況になって、もう戸惑いしかなくて…
何でこんなことになったんだろう?
周りが揉めたりザワザワするたびに、
『俺が望んでこんな風になった訳じゃない』って。
そう思っていた。
だけど……
それ、違うよな?
俺に言い寄って来てる4人のせい、だけじゃない…
なぜって。
いつも、誰といても、何をしても、
結局は、俺が望んでそうなったことだから。
無理やり押さえつけられて、嫌がるのを手籠めにされたわけじゃない。
智くんの時も、雅紀の時も、
俺はその瞬間、『欲しい』って思ってた。
彼らを抱きたいって…
ニノの時も、潤の時も、
そうされたいと望んだのは、他ならぬ俺だから…
目を反らせてたって分からない。
誤魔化してたって見えない。
だったら。
この状況を、俺がリードしていく。
俺が、自分で見つけ出す。
『誰といたいのか?』
キッチンで、俺のために甲斐甲斐しく夕ご飯を作る潤。
素直に、愛しいと思う。
誰かよりとか、比べるんじゃない。
今、この瞬間、潤を素直な気持ちで『好きだ』と、
そう思うから……
俺は潤を背中から抱き締めた。
「しょう…さん…」
「ありがとな、潤…今夜はさ、俺が…」
「えっ?」
「いいよな?俺が抱いても…」
潤が息を飲む気配がした。
「ダメ?」
「ダメ…じゃない…けど…俺…」
抱き締めた肩から、一瞬にして潤の緊張が伝わってきた。
間違いない…潤は…
「お前さ、そっちは経験なし…だよな?」
「えっ、あ、いや…」
「俺がもらっちゃうよ?潤のバージン…」
「翔さん!」
「飯食ったら…ゆっくりね❤」
その後の潤は、もう明らかに動揺してて、見ていておかしいほどで…
なんだか、可愛かった。
動揺しながらも、潤はパスタとサラダを完成させ、
食卓に並べてくれた。
「翔さん、ワイングラス、出していい?」
「おお、勿論…うまそっ」
俺達は仲良く潤の作ってくれたパスタを食べ、俺が通販で買っていた白ワインを開けた。
緊張を隠せない潤は、他愛もない話を一生懸命にしていた。
恋人たちの時間のような甘い空気が、俺達を包んでいた。それが、不思議に心地よくて…幸せだった。
「それで相葉さんがさ~…」
「…潤…」
俺は饒舌な潤の手に自分の手を重ねて、潤の急に怯えた目をじっと見つめた。