第3章 Amore
【潤side】
後ろから頭を抱え込んで顎を持ち上げてやると、大野さんは待ってましたとばかりに薄く唇を開いて。
キスを強請るみたいに、赤い舌でちろりと唇を湿らせた。
「その顔、エロ…」
「…うるせ…」
強気な口調で言いながらも、瞳の奥には欲情の光がゆらゆら揺れてる。
「ふふっ…俺たちとはセックスしないんじゃなかったの?」
耳の中に直接囁いてやると、ぶるりと震えて。
いきなり頭を引き寄せられたかと思うと、がっつくような激しいキスがきた。
「ん、ふっ…」
つい声が漏れてしまって。
唇を合わせたまま、大野さんが笑う気配がした。
「なんだよ」
「んふふっ…松潤、か~わい❤」
舐めるように見上げる視線は、まるで高級な娼婦みたいで。
や、娼婦がどんなもんかは知らないけど。
「…櫻井さんとエッチしたときも、そんなエロい顔見せたの?」
「んふ…さぁ?どうだろ?」
最初は、お互いただの欲求不満解消のために寝ただけだったのに。
なんか、いつの間にか泥沼に嵌まってる気がする。
…せっかく、櫻井さんとお試しとはいえ、付き合うことが出来るっていうのにさ…
なんで、こんなことしてんのか…
……櫻井さんが、相葉くんといるからだ。きっと。
うん、そうに違いない。
「…他のこと、考えてんなよ」
こっちから誘ったはずなのに、主導権は大野さんに移ってて。
また強引に頭を引き寄せられて、唇を重ねられた。
歯列をこじ開けて、ヌルリとした舌が侵入してくる。
わざと逃げると、更に深いところまで追い掛けてきて。
翻弄されそうになった俺は、薄く目を開いてさっきから傍観を決め込んでるニノに助けを求めた。
ニノはニヤリと悪い顔で笑うと、徐に大野さんのスラックスのベルトに手を掛ける。
あ~、一つ借り作っちゃったよ~。
今度なに要求されんだろ…
頭の片隅でそんなことを考えながら、追い掛けてきた舌を捕まえて強く吸い上げてやる。
「んんっ…」
ピクンと小さく震えた大野さんのスラックスをニノが器用な手つきで素早く脱がせて。
もうすっかり準備万端って感じで反り返ったそいつを、するりと指でなぞった。
「んふぅっ…」
「智、やる気満々じゃ~ん♪どうする?どうして欲しい?」
揶揄うような声に、大野さんの瞳がまた揺れた。
「…お願い…舐めてよ…」