第3章 Amore
【翔side】
何が何だか分からなかった。
この部の中の、誰と誰が尻を貸し合う仲なんだ!?
最早、みんなが怪しく思えてしまう。
しれっと普通の顔して仕事してたくせに。
夜はそんなことしてたなんて...
.....まあ、男同士は恋愛しちゃいけない、
なんて、そんな古いことを言う気もない。
それは個人の問題であって、他人に迷惑をかけなければ、構いやしない...
仕事さえきっちりこなしていれば、文句はない...
....その観点からすれば、あいつ等はちゃんと仕事してた。
智くんは疑問が残らないでもないけど。
それにしたって...
「ねえ、櫻井さん..ねえってば!手首が痛いよ...」
えっ!?
あっ...
忘れてた...
「ちょっと~、あんなに強引に俺をさらって来たくせに、俺の存在忘れてた訳じゃないよね~?」
「ごめん...」
冗談抜きで、忘れてた。
驚きの度合いが凄すぎて、俺の頭の許容量はとっくに越えてた訳で...
「これからどうします~?手っ取り早くラブホでも行きますか~?」
...俺は相葉をじっと見つめた。
今まで、こいつとそんなことをしようなんて、夢にも考えたことない。
だってこいつ、男だし。
俺と同じもん付いてるし...見たことなないけど。
良く見ると、可愛い顔をしてるんだな...
そう言えば、俺の同期の女子たちが、相葉のことをほっとけない感じで可愛い、って。
飲みの席で言ってたっけ。
その時は、訳が分からなかったけど、そう思ってみると分からないでもないかも..
「ねえ!櫻井さん!!」
考えてみたら可笑しな二人連れだよな~
夜の繁華街、手を引かれた男を、引く男...
OLらしき二人連れが、クスクス笑いながら追い越していった。
俺は慌てて手を離して咳払いをした。
「どうします?」
「あ、うん...ホテルは...ちょっと...」
口籠る俺に、相葉は、
「じゃ、俺んち来ますか?」と...
「お前んち...?」
「はい。散らかってますけどね~」
「お前んちって、どこ?」
「近いですよ~、メトロでこっから40分位です」
40分なら、まあまあ遠いじゃん。
家なら10分...
「俺んち、来る?」
「え~!!いいんですか~??」
その提案に、相葉は目を輝かせた。
俺はスキップする部下を連れ、自宅マンションに戻った。