第7章 まだ見ぬ世界へ
【翔side】
ニノが、ニコニコしながら言うんだ。
『みんなで暮らそう』って…
どうやら本気で言ってるみたい。雅紀が言うなら、『何言ってんだよ!』って一笑するところだけど。
ニノだからな~…
「いいじゃん!大きいマンションとか…一軒家でもいいよね♪みんなで借りれば安く済むし…」
智くんもノッてきた。
「シェアハウス、流行ってるもんね♪」
当然のように、雅紀もその気だ。
……と言うことは……
「俺の友達で、不動産やってるやつがいるから、聞いてみるよ♪」
…松潤、君も反対しないんだね。
「あのぉ、もうそれって、決定事項なのかな〜?」
おずおずと小声で言ったら、4人の目が一斉に俺に向けられた。
「翔さんは嫌なの?俺たちと暮らすこと」
……雅紀…そんな純粋な目をして聞かないでくれよ…
「だってさ、その…同棲、っていうのかな?まあ、少し、いや、かなり違う気もするけど…」
「同棲って、なんかぐっと近くなる感じでイイよね!」
…智くんはそれだけでもう嬉しそうだ。
「同居、でいいんじゃないですか?」
ニノはいつも通り冷静だ。
「翔さん、難しく考えないなくてもいいと思うよ。気の合う仲間が、合理的理由で一緒に暮らす。
それだけのこと。誰かに聞かれても、それでいいじゃん。」
潤は迷う俺に理屈で攻めて来た。
「翔さんは、俺達の真ん中で、俺たち4人の姫でいてくれればそれでいいんだから…」
だから~…姫じゃないから(´・ω・`)
「いいよね~?翔くん、その話、進めても…」
智くんにじっと見つめられて、俺は思わず頷ずいてしまった。
「よ~し!そうと決まれば、早速動き出そうか!探す場所としては23区に拘らない?」
「俺はいいよ~」
「会社に近い方がいいな…」
「一軒家とかは~?折角だし、庭も欲しいもん!」
……みんなの姫、何て言いながら、すっかり俺は蚊帳の外状態。誰も俺の希望とか、聞いてくれないんだね…
でも…
なんだか少し楽しみで、少し嬉しい。
仕事だけじゃなくて、俺のことを必要としてくれて、大切にしてくれる…
4人の存在が、俺の中でどんどん大きくなっていくのを感じる。
俺を囲む、始めは歪だった4角形が、少しずつだけど角が取れて、丸みを帯びてきている。
その真ん中で、俺は不思議な位に、温かくて、そして優しい気持ちになっていた。
