第17章 きす
「…クロ、ほんとに泊まっていくんですか?」
「うん。迷惑だったらやめとくけど」
「迷惑だなんて、思いません。
…むしろ、ものすごく嬉しいですよ」
なんて、クロと二人でゆったりとした時間を味わっていたのに…
ものすごく騒がしい人間が、「ゲーッ!!」と、叫び声をあげて私の部屋に飛び込んできた。
「なぁ綾菜、俺のゴム取った?」
シーンと静まり返る部屋。
誰も言葉を発しない。
そんななか、クロと私はお互いに見つめあった。
これは、もう、言うしかないか…
「ごめんね、光太郎。
…ほんとは、こんなことしたくなかったけど、勝手に使っちゃった。
…あの、だから…後で買ってくる…から。」
そもそもなんで、今気づくの?!
ナニをしようとしたのよ!