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ヒトヒト物語

第2章 水精霊の宿る石


セラが居るという部屋に向かおうとしたシド……しかし、それはコアによって止められた。


「動くな」


一瞬のうちに取られた背後から、腕を捻り上げられ身動きが取れなくなる。

シドは抵抗しようと暴れたが、コアは彼と同じ《獣人族》である為、腕力で振り切る事は出来なかった。


「離せよ‼︎」

「悪いが、まだ彼女に会わせる訳にはいかない」

「はぁ⁉︎何でだよ」

「今会えばお前は、彼女を連れてさっさと逃げるだろう……それでは来て貰った意味が無い」


“攫った”の間違いだろが!

シドは顔を背後に向け、コアを睨みつける。それでもコアは動じない。


「隣の部屋にはビーナが居る。お前が大人しくしないなら、彼女とは二度と会えなくなるぞ」


本気かは分からない。

それでもシドは、コアの脅しを軽く受け止める事は出来なかった。

本心では今すぐにでもセラに会いたいが……シドは一つ溜息を吐き、抵抗するのをやめた。


「……俺らを攫った意味って何だよ」

「話を聞く気になったか。だが、話す前に部屋を移動するぞ」


リーダーと仲間に会って貰う、とコアは続ける。

腕を解放されても、シドは大人しく従った。




連行される形で、シドは先程とは別の部屋に移動した。

先程より広いその部屋には、コアの仲間らしい三人のヒトが居た。


「やあやあ、目が覚めたんだね。体の調子はどう?」


最初に話しかけて来たのは、短髪で背の高い女性。

シドを見てニコニコと笑っている。


「コア、ビーナも呼んで来て」

「見張りは良いのか?」

「女の子の方はビーナが眠らせたんだから、まだ起きないでしょ」


女性の言葉に、シドの耳が小さく揺れる。

セラは、自分のように殴られて気絶させられた訳ではないらしい。


(魔術で眠らされてるのか……?)


数分後、ビーナを伴ってコアが部屋に戻って来た。

ビーナは、シドに会釈する。

その後シドは、コアに指示され椅子に座らされた。

テーブルを挟んだ正面には背の高い女性が座っており、コアはシドの背後に立つ。

ビーナは、他の二人の隣に立った。


「さて……じゃあ、話を始めよっか」


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