第3章 ♡抗えない身体
「な、なんでもないです...!
すみません...!」
めるはむりに笑顔を作る。
そのぎこちない笑顔を見て、
羊はさらに心配そうに眉を寄せた。
『本当に大丈夫...?
昨日も言ったけど、なにか困ったことがあったら
いつでも言ってね?
俺じゃ頼りにならないかもしれないけど...
でも、1人で抱え込んでると疲れちゃうし、
俺にだって話し相手になるくらいならできるから』
羊の温かい気遣いに、
心がふわっとあたたかくなる。
「はい、本当にありがとうございます...!」
『うん!それじゃあ、またお話しようねっ!』
ニコッと笑って
手を振りながら駆けていく。
めるは羊が見えなくなるまで
その姿を見送った。
(羊さん...本当に、優しい方だな......)
羊の優しさに小さく笑って、
扉を閉めようと、
もらったおぼんを床に置いて
後ろをむく。
ーーと、突然誰かに後ろから目を塞がれた。
『だーれだっ♪』
「きゃっ...!」
いきなりのことで、
頭が回転せず
そのままフリーズしてしまう。
「...え、ええっと...」
『あれー?わかんないの?
君と僕との仲なのにー...
時間がかかればかかるほど
後からその分罰ゲームね♪』
その声に、喋り方に、
はっと昨日の記憶が蘇り、
めるは背筋を凍らせる。
「...あ......」
『はい、5秒経過ー♪
早く当ててみてよー』
「...あ、えと...は、花臣、さん...」
『あったりーーー!!!』
ぱっと視界が開け
ぐいっと後ろを向かされる。
『めるちゃーん!会いたかったよー!
君の身体、すごいね!
朝起きたら何するよりも1番に
君とエッチしたくなっちゃった』
「え......」
『だから僕、ずっと君を探してたんだよ!
それで、なんだかめるちゃんの声が
こっちから聞こえたような気がしたから来てみたら…
本当にいた♪
よかったー!さ、早くエッチしよ?』
昨日と同じく、あどけない笑顔に似合わない卑猥な言葉を堂々と口にする。
戸惑うめるをよそに、
花臣は思いきり部屋の中へ手を引いて
2人が部屋に入り切ると、
ばたんっと音を立てて扉を閉めた。