第9章 ♡甘い蜜には毒がある
「あ...あの......」
『大丈夫。...出なくて、いいから。』
「あ...」
聞きたかったことの答えを先に言われ
めるはすぐに口を噤む。
『......も、大丈夫、だから...
ね...ほんと、離れて...』
「......」
離れて、と言いながらも
相変わらず雪臣の身体はふらふらで
今にも倒れてしまいそうだ。
そんな彼をどうしても放っておけず、
めるは無意識に支える腕の力を強める。
「だめです。だめですよ。
私、言ったじゃないですか。
寂しい時は雪臣さんと一緒にいます、って...
わ、たしで良ければ、ですが...!」
『...っ.........
...べ、つに、今は、寂しく...』
「でも......」
『でも、じゃなくて...今の俺は...君にっ...』
「だ、だって!今離したら、
雪臣さんまた倒れちゃ...っ!!」
『ああああ!もうっ!!』
突然、痺れを切らしたように声をあげた雪臣の腕が
めるの身体を強く抱いた。
「きゃっ...!」
『ほんと、知らないよ......
俺は、何度も、君に言ったからね...。
離れてって、何回も...。』
「ゆ、きおみさ...っ...」
彼の熱い吐息が耳もとを掠め、
そのくすぐったさに
めるの身体はつい、びくりと身動ぐ。
『......なに?...耳、弱いの』
「やっ...あ、っの......」
『はぁ...耳もとで喋ると身体揺れてるけど...
ね......どうなの?』
「わ...っ、たし......そ、んな.........」
『答えないならいいよ。
......試してみるから。』
その言葉とともに、
いきなり雪臣の唇がめるの耳に触れた。
「え......きゃあ!!」