第9章 ♡甘い蜜には毒がある
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めるが仕事を終え、
部屋に戻ろうと屋敷の廊下を歩いていると
よろよろと歩く人影が見え
不思議に思いそこに近づく。
「...?
あ...れ...?
ゆ、雪臣さん...?」
『...っ!!誰っ!?』
「え......わっ!雪臣さん...!」
びくりと肩を震わせ、それと同時に
崩れ落ちそうになった雪臣に、
急いで駆け寄ってその体を支える。
『...っ!?
さ、触るなっ!!!』
「っ!?す、みませ...!!」
あの優しい雪臣の怒鳴るような声に、
思わず驚き支える手を離してしまうと
支えのなくなった彼の体が
ガタンと音をたてて床に倒れ込む。
『...っ!......いっ...た、たた...』
「ごっ!ごめんなさい...!
あ、ええと...!ど、どどどうしましょう...!」
『...っ......』
めるがあわあわと狼狽えていると
苦しそうに顔を歪めながら
ちらりとこちらを向いた雪臣と目が合った。
『.........な、んだ...はぁ、は...め、るさんか......』
「え!!!あ!はいっ!私です!!!」
めるが思わず大きな声で返事をしたのを確認すると、
ゆっくりと息を整えながら
雪臣はふらふらと自力で立ち上がった。
『ご、めん...。迷惑掛けたね...。』
「え!?全然掛かってないですよ...!
そんなことより、その...
どうされたんですか...大丈夫ですか...?」
『ん...大丈夫...。ごめんね...。』
そのまま、またふらふらとした足取りで
歩き始めた雪臣に、
めるは思わず近づこうと声を掛ける。
「あっ...あの...っ!」
『来ないで...!』