第6章 ♡飼い主不在のペットには

『はぁ...はぁ...は、っ......』


「はぁ、っ...ん、は、あ...」


花臣に組み敷かれたまま、
めるはまだ整わない息を漏らす。

いつもならすぐに身体を起こす花臣も、
今日はめるの上に覆いかぶさったまま
動く気配がなく、
不思議に思い声を掛ける。


「はぁ、は...はぁ...は、な...おみさ...？
ぁ......はぁ...あの...」


すると、ゆっくりと
めるを抱いているその腕が
さらに強く、めるのことを抱きしめた。


「......？...は、ぁ...あ、の......」


『すき。』


「......え？」


『すき。』


「......？あ、の...」


突然の“好き”の言葉に、
めるは訳が分からず首を傾ける。


『すき。』


「は、はなおみさ...」


『すき。』


「.......え、と...」


『すき。』


「...............」


このままでは埒が明かないと、
めるは次の言葉をさがす。


「あ、え...と...、その“好き”は、
え、と...なに...なん、の、こと...ですか？」


『めるちゃんがすき。』


「あ、ええっと...え？ど、どなたが...？」


『僕はめるちゃんがすき。』


「............え？」


『僕はめるちゃんがすき。』


「......え、えええ！？
え、ど、どういう、意味ですか？
え？あの、え？...その好きは、その...
え？ええっと...
お気に入りの、玩具...みたいな...その...」


『.........ん...に...たい...』


「え？」


『...僕はめるちゃんがすき。
......お嫁さん...に、したい......』


「............え、え？
...えええええ？！」


突然の訳のわからない告白ともいえる
その言葉にめるは驚きのあまり
素っ頓狂な声をあげる。