第9章 束の間の微睡みを[GE2ソーマ]
ラボに流れる静かな空気は決して窮屈ではなく、むしろ心地良ささえ感じた。
(そういえば今日の報告書まだあげてないや…)
最近は私の方も激務が続き、あまり休めていなかったからか心地良さに自然と瞼も下がってくる。
(今日はソーマのために来た、の…に…)
そして私は微睡みの中に意識を手放した。
ふと片側に感じた重みにソーマはタオルを退けてそちらを見遣った。
「…お前もお疲れさん」
いつの間にか寝落ちた雪音の頭がソーマの肩に寄りかかっていた。
手元に持たれたままのカップをそっと机に置き、傍らで静かに寝息を立てる彼女の髪をスっとひとつ梳いた。
「心配ばかりかけてすまないな」
10cmほどあいていた距離を詰め、互いに寄り添い目を閉じる。
(たまにはこういうのも悪くないか)
そしてソーマの意識もまた微睡みの中へと沈んでいった。
「おやおや…どうやら、上手くいったみたいだね」
数時間後、研究室に様子を見に来た人物は二人並んで眠る姿を微笑ましく見守っていた。
‡END‡