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第8章 終焉に向かいし王[羽張迅・迦具都玄示]


《セプター4 室長室》
「じーんー!ひーまー!!」
セプター4室長室の一角に備えられている畳のスペースでひとり駄々をこねる黒髪の少女雪音。
彼女は水態…つまり「水」を操るストレインだ。通常のストレインと比べてその力が強い為、現《青の王》である羽張迅が監視含め手元に置いている。
「まぁもう少しで一区切りつくから待ってくれ」
「もう!さっきからそればっかりじゃない!」
「じゃあ一区切りついたらデートでもするかい?…まぁ、見回りを兼ねてもいいのなら」
「本当!?玄示のところ行きたい!!」
彼女の反応にガクリと肩を落とす羽張。
「君は…本当に彼が好きだね」
「だって玄示は何だかんだで優しいし、何より退屈しないもの。彼もクランズマン達もちゃんと構ってくれるわ」
仕事ばっかりの人達と違ってとでもいいたげにジト目を羽張へと向ける雪音。どうやら彼女にとってはあちらがとてもお気に召しているらしい。
しかし、そうは言うが彼女自身も自らの能力の危険性を理解しているからこそ、このセプター4(檻)から出ようなどという選択肢は選ばない。
まだ6歳程度の少女にとってはストレスにならないはずがない。ましてや自分で行動を制限される場所に入るなど。
(赤の王と会うことでストレスの発散になるのなら連れて行ってあげたいのは山々だが…)
それはそれで難しい。青の王 羽張迅と赤の王 迦具都玄示には因縁がある。出逢えば衝突してしまうだろう。
(…俺が遠くから見守っていれば可能か)
そして結局羽張が折れ、雪音は赤の王 迦具都玄示のもとへ向かった。
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