第21章 その先に見える景色
……中で、翔くんのがドクンドクンと脈打って、
俺の中に熱が広がっていくのが分かった
「…ごめん…いっぱい出ちゃった」
そう笑う翔くんに、俺は涙が止まらない
「潤…泣くなよ…」
「…ごめん…今だけ、だから…」
「…うん…」
何も言わずに、翔くんは俺を胸の中に閉じ込めて、ぎゅうっときつく抱き締めてくれて…
その力強さと優しさに、溢れる涙が止まらない
「…ぅぐっ…えっ…え…」
繰り上げる俺の背中と頭を、翔くんはずっと撫でてくれた
この腕の中で……
このまま死んでしまいたいと、
……そう思えば思う程、涙が溢れて止まらなくなり、
俺は、子どもみたいに声を上げて泣いた
そんな俺を、翔くんは何も言わずにずっとずっと抱き締めてくれてた
この先……
俺たちには、どんな未来が待っているのだろう?
俺たちは、どんな景色を見るんだろう?
俺の中にいる…
いや、違うな、俺の方がそいつの中にいるのか…
だから、
消えるのは俺なのか…
…消えるのは…俺の方…
翔くん…
消えたらさ、
俺はどうなっちゃうのかな?
いなくなるの?
元々、俺はいなかったなんて、
そんなの信じられないけど、
小さい頃からの記憶もあるし…
でもそれは、Jと共有しているからなのか?
……分かんないよ
消えるって、いなくなるって、
そんな事……
だけどね。
翔くんには言えないけど、
その日が、遠い未来なんかじゃないって、
俺には解っていた…
どうしてなのか、
いつなのか、
何の根拠も確証も無いけど、
その日は…
もう、直ぐそこに…
………そのまま、翔くんの腕の中で眠ってた
この頃、怖くて眠れなかったから…
翔くん……
しょお…くん……