第21章 その先に見える景色
「翔…」
「J…J……」
俺をそっと、風のような優しさで包み込んだJは、
「……じゃあさ、ふたりとも今のままだったとして。
翔は、俺と潤…どっちかを選べって言ったら、どっちを取る?」
どっちを…?
どっちを取るなんて…
潤か、
Jか…
潤か……
J…か…
それは…
俺が一緒にいたいのは……
「……俺は……」
Jがじっと見ている
智くんも黙って俺を見つめてる…
………
……
……………
「…だめ、だよ…そんなの…決めらんない…」
「翔…」
苦しい答えを吐き出した俺を、強く抱き締めたJは、
「ありがとう…翔のその言葉だけで、俺も潤も救われた」
「…J…それじゃあ…」
ぱっと表情を変えた俺に、Jはやっぱり、
さっきと変わらずに、目を伏せ、淋し気に首を振った
「J……なんで…」
「俺が自分の意思で潤を生んだ訳じゃない…
こんな風になって、始めは戸惑った
頭がおかしくなったんじゃないかって…
俺が潤の中で眠っているときも
潤の行動は、何となく把握できてて、
目が覚めても繋がっていたけど
潤は、俺のことは、全く知らなかった…
だから、自分の知らない、心当たりのない傷何かを見つけると、必死に隠そうとしてたよ…」
そんな潤を、俺は全然分かってなかったんだ…
歯痒い思いに唇を噛みしめても、
今更だ…
戻るって、不安を抱える潤を
抱き締めることは出来ない
「じゃあ……潤は、消えるの?」
その時、智くんがボソッと言った
その言葉に、
Jは、感情のない顔を智くんに向け、
俺は凍り付いた
……ジュンガ、キエル……