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Baby blue【気象系BL】

第21章 その先に見える景色




どのくらいたっただろう…

智くんから離れたJは、ゆっくりと顔を上げた

その目は、真っ赤に潤んでいて、
俺の胸は締め付けられた。

Jは、フラフラとした足取りでソファーに腰掛けて、大きく息を吐きだした…深く…長く…

そして、上に上げられた片方のに膝に顎を乗せ、
小さく呟くように言った

「…俺だってさ…分かってるよ…
…消えるべきは、俺なんだってことくらい…」

「J!そんなこと!!」

急にしゃべった俺は、声が掠れていて、慌てて咳払いをした。

そんな俺を見て、ふんわり笑ったJは、

「いいんだ…翔……大丈夫、俺はもう、傷つかないから……」
「J……」


Jは、また遠くを見る様な目をして、静かに話し始めた。


「俺が望んでこうなったわけじゃない…

気が付いたら、潤が、俺の中に生まれてた

いい子でいなきゃ駄目
わがまま言ったら嫌われる
いつも笑ってなきゃ……

母さんに……愛されたい

そんな気持ちが、行き場をなくしてったとき、俺じゃない、別の…

潤は、素直になれないジレンマとストレスを抱えた、俺の心が産み出した、俺のなりたかった本来の姿なんだよ

そうなんだよ…

潤はさ…Jの憧れだったんだ…

素直で、明るくて、正直で…

なのにさ……」

Jは小さく息を吐いた


初めて見る、Jの儚げな背中を
今すぐ抱き締めてやりたかった

だけど……

なんでだろう…
言葉が見つからない…

Jに駆け寄りたいのに

駆け寄って抱きしめてやりたいのに

脚がその場に張りついたようになって
動かないんだ……


こんな時、為す術もない自分は
なんて滑稽で、
なんてつまらない人間なんだろう……


いつからJと潤が共存していたのか…
考えたけど、
分からなかった


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