第4章 揺れる想い
「俺ならいいとか…そんなことないよ!
…モラルの問題だって言ってんだよ…」
すると翔くんは、
「ぷぷっ、智くんが、モラルって…」
と笑って口許を押さえた。
潤はますます挑戦的な目を俺に向けて、
「今更でしょ~?親がいない時なら、
智が家にいても、そういう事したっていいじゃん!ねえ~、翔くぅ~ん…」
すると翔くんは、サラッともたれかかる潤を交わして立ち上がった。
「ダメったら、ダメなの!モラルなの!」
「なんで~??」
「あのさ、俺、智くんの前では二人に対等な幼馴染のままでいたいんだよ~。
潤だけ特別じゃなくてさ…」
翔くんの、思いがけない言葉に心臓が跳ねた。
『対等』ってさ…
全然対等なんかじゃないじゃん…
いつも、潤、潤って///潤ばっかり…
俺のことなんか…俺なんかには…
……はっ///俺、何考えてんだ?
「智くん、智くんはさ…
付き合ってる人、いないの?」
「えっ??つ、つ、付き合ってる?」
ダメだ///声が…上擦ってしまう…
「いないよ、智は…そんな人…」
またしても、潤の視線が俺を刺す。
「何でいないんだろうね~?こんなにイケメンだし、可愛いのに…俺がクラスメイトなら、絶対ほっとかないは…」
「翔くん!!」
………あ、いや…あの…
「い、イケメンじゃね~し…可愛って、そんなこと」
「翔くん!!俺と智とどっちが可愛い??」
「はあ~?何言ってんだよ、潤」
「言ってよ!どっちが可愛いか!」
止めろ、潤…
「何ムキになってんだよ、変な、ヤツ~
…でも、まあ、しいて言うなら~、可愛いっていうのは…」
「あ!!俺、岡田に電話するんだった!!
忘れてたぁ~///そうだった!
やっべ!怒られるかな~」
翔くんの言葉を途中でぶった切って立ち上がった俺は、二人を見ることもしないでリビングを出て二階に駆け上がった。
……ダメだ///
こんなことしてたら…俺…
俺は……