第20章 君をずっと思ってる
「潤…」
「…なに?」
「…あのさ、吐き出しても、いいんだよ」
「……翔くん…」
翔くんは、天井を見たまま、俺の肩を強く抱いた。
「俺さ、全然頼りないし、俺に話しても、何の解決にもならないかもしれない…けど…」
「……」
「でも、もしも、潤が話してくれるんなら、潤の不安とか、俺に分けて欲しいんだ…
俺が蒔いた種のくせに…って、そう思われても仕方なけど。でも、もう、俺には、潤の話を聞くくらいしか、出来ることが、思い浮かばなくて…だから」
「翔くん!!」
…堪らなくて、翔くんの首根っこにしがみ付いたら、涙が溢れた。
「…しょおくんは、悪く、ない…こうして、側にいてくれるだけで、俺は、俺は…どんなに救われてるか…」
……そう…
翔くんの存在が、どれほど俺に、勇気をくれているか?
反対に、翔くんがいるから、
俺は俺自身に執着したくなる……
翔くんと、もっと、一緒にいたい
翔くんと、これから先の人生も、
隣で歩いていきたい……
だけど……
俺は………
もう直ぐ…
消える
身体は残っていても、
心が、消えてしまう……
俺という人が、なかったことになる
考えたくなくて
認めたくなくて
目を反らせていたけど……
「…潤…俺は…ずっと潤のこと、思ってるから…」
「……っ…」
翔くんの言葉が、声が、
がんじ絡めにしていた鎖に、ゆっくりと染み込んでくる…
「しょおくん…俺、怖い……
ずっと、ここに、居たいよ……
翔くんを……誰にも、渡し、たくない…」
「潤、潤…潤……」
初めて恋人に見せた本音
心と身体が
引き裂かれるような悲しみ……
翔くんが、軋むほどの強さで抱き締めてくれたから、俺は壊れずにいられたんだ……