第19章 冷酷な真実に…
風呂を出て、カウチに座ってビールを飲んでいると、
暫くして、母さんが戻って来た。
「潤、お風呂行ったの~?」
「ああ、お帰り~。俺、部屋の露天風呂に入ってた」
「え~?ああ、そうなのね?ここもなかなか素敵だよね~」
「うん…今度俺が大きい風呂に入りに行ったとき、
母さん、こっちの入るといいよ」
「そうね~…まあ、昔は一緒に入ったから、
一緒に入ってもいいけどね~」
な、なに言ってんだよ///
夕飯は、部屋に運んでもらうスタイル。
海の幸や山の幸が、見た目にも色鮮やかに盛り付けられた、品のいい器が並んでいる。
「わあ、綺麗…美味しそうですね」
母さんは、笑顔で中居さんに話しかけた。
「ありがとうございます。味も確かですよ~
盛り付けにも拘った、料理長も喜びます。
でも、ほんとに、素敵ですね。
息子さんとふたり旅なんて…
それに、こんなにイケメンの息子さん…」
中居さんは、そう言って笑顔を向けた。
「んふふふ、そうでしょ〜」
「息子さんは、お父様似ですね」
悪気のない彼女の言葉に、
一瞬箸が止まった俺は、そっと母さんを盗み見た。
母さんは、穏やかな笑顔のまま、
「そうなのよね〜、私に似なくて良かったわ…」
そう微笑んだ。
「ごゆっくり」
そう言って中居さんが行ってしまうと、
部屋には俺と母さん二人だけになった。
…………
あれっ?
何で急に黙り込んだ?
母さんは、箸を止めて、窓の外に目を向けた。
すっかり夜になってしまった大きな窓には、
ライトアップされた緑の木々と、
向かい合って食事をする俺たちが映っている…
「……潤……今まで、ごめんね…」
母さん……
「酷いことしたって、思ってる…家に引き取ったくせに、潤には酷い事ばっかりしてたよね…」
「………」
「でも、でもね。
ずっと、ずっと潤に謝りたいって思ってた…
潤に近付きたいって…今更だって、分かっていたけど」
「…母さん…」
胸がぎゅっと締めつけられた。