第17章 その葛藤の先に
その晩、俺の部屋で潤を抱いた。
東山先生のところを受診して、
きっと何か思うところがあるんだろう…
潤は俺の下でも、いつもと少し違っていた。
何となく…潤の気持ちが分かるけど、
本当のところは、きっと俺では分からない…
『大丈夫、俺が付いている、心配するな』
そう言ってやれば、
潤は笑ってありがとうと言うだろう…
だけど…
きっと…潤は、俺には量れない気持ちを抱えているはずだ…
これからどうなるのか、自分はどうすればいいのか、
そんな不安に押しつぶされそうなんじゃないか?
それは、潤にしか背負えないもので、
そう思うと、胸が痛くて……
力のない自分が悔しい///
「翔くん…好き…もっと、強く、抱いて…」
「潤…ずっと、お前といるから…愛してる…」
「…翔くん…嬉しい…」
俺の胸に顔を押し付けて、潤は泣いた…
潤……
お前を苦しめるもの、全てから、
俺が守ってやるから…
抱き締めた温もりだけが…
それだけが全てなんだと思っていた俺は、
なんて浅はかで、幼かったんだろう…
潤の涙の意味も、
震える肩も、
この時の俺には、何も分かっていなかった…
運命の大きな渦に巻き込まれて…
藻搔けば藻搔くほどに…
逃げられない棘に取り込まれていくこと……
この時の俺たちは…
少なくとも俺は、まだ知らない…
潤…
俺は何て
無力なんだろう…
それが例え、
思ってもいなかった結果を呼ぼうとも、
もう賽は投げられた///
進むしかないんだね?
この先の、未来へ……