第3章 悪戯
「潤…ヤバいぞ、もう10時になる!今日学校は?」
「……う~ん…何~?」
ただでさえ寝起きの悪い彼は、なかなか目を開けない。
しかも、夕べ無理させ過ぎちゃったしな~…
「おい、潤!ほら、シャワーして帰るぞ!」
俺は、まだ半分寝ぼけている潤を引き摺るように風呂場へと拉致し、急いで身体を洗った。
夜遅くなっても帰れるようにと、近くのホテルを使っているのに…
悪戯が過ぎて、潤をいじめるのが楽しくて、羽目外し過ぎちゃった。
幸い俺は3時限からだったから、帰ってから着替えて出掛けられる。潤は…?
取りあえずは、一回帰ろう。
俺ん家はともかく、潤の家のお袋さんは心配してたかもしれない。
大急ぎでホテルを出て、電車に飛び乗った俺たちは、そのまま家路に…
潤を家に送り届けてから…
そう思った俺は、玄関に出てきた潤のお袋さんに朝帰りの言い訳をした。
「すみません…潤も一緒に、友達の家で飲んでて…連絡もさせないで、ホントすみません!!」
一気に言って頭を下げた。
まさか、一晩中鳴かしてたとも言えないだろうし…
「そうだったのね…ねえ、翔くん、それより、智は?一緒じゃないの~?智も夕べ帰って来なかったのよ!
何度も携帯に電話しても、ちっとも出ないし…」
……あ~、智も朝帰りかよ…まだ、帰っても来てないみたいだけど…
つ~か、潤にも、家から電話…あったっけ??
「じゃ、翔くん…また…俺、今日は寝るわ…」
潤は、振り返りもせず、さっさと階段を上がっていってしまった。
…なんだよ…あいつ…
その態度に、何となく違和感を感じながらも、俺は自分の家に向かった。
智…無断外泊…って///
いったいどこで何してるんだろう?
彼女がいるなんて、聞いてないぞ~?
今度、聞きだしてやらなきゃ…
俺は、着替えながらキッチンにあったパンを頬張って、大学に向かった。