第16章 turning point~転機~
それでも明け方になって、いつの間にか寝っていたらしくて。
気が付いたら時計の針は6時50分を指していた。
Jは…?
始発で帰るって……
そう言っていたJはどうしただろう?
部屋を出てリビングに行くと、いずみさんは新聞を読みながらコーヒーカップを傾けていた。
「…あの…」
「あ〜、翔くん、おはよう…よく眠れた〜?
ごめんなさいね〜、私朝食はコーヒーだけなの!もう出掛けるから、翔くんはゆっくりしてっていいわ!鍵はポストに入れて置いて〜!それから」
「あのぉ…J、は?」
「始発で帰るって、出てったわ…
あなたは疲れているから、
もう少し寝かせて欲しいって。
ここに泊まった朝いつもそうよ〜」
「いつも…?Jはいつも、あなたのところに?」
「いつもっていうか、
ああああぁ!!!た〜いへん!遅れちゃう!
ごめんね、翔くん!今日はもう出掛けなきゃ!また、何か聞きたいことがあったら遠慮なく来て!
はい、これ」
ひとりで喋りきった後、彼女は名刺に何かを書き込んでから俺にくれた。
「もし来るなら、その番号にかけてからにしてね!これでも私、結構忙しいのよ〜
じゃ、もう行くわ!」
…………
「冷蔵庫にあるもの、食べてもいいから…じゃあね!」
いずみさんが、嵐のように出掛けてしまうと、部屋の中に静寂が訪れた。
…………何で俺、こんな朝っぱらから、
知らない女性の家で、ひとりでいる??
弁護士さんって言ってたっけ……
あの人、Jのなんなんだろうか?
ひとりでかんがえてても分かんないし。
俺はウォーターサーバーから水を汲み、
カラカラに貼り付いてた喉を潤してから
いずみさんの部屋を出た。
J…………
今、どうしてる?