第14章 desire〜欲望〜
赤いソファーの上、
重なる俺とJの影……
「…ん…ぁ…ふっ……んっ…」
「……翔…可愛い…翔……綺麗だ……」
髪を撫でていたJの指が、
ゆっくりと首筋を辿り、下へと滑る。
「…あ…J…」
Jの少し冷たい指先は焦らすように鎖骨を滑り、その下に息づく粒を摘まんだ。
「……んぁっ」
全身に甘い痺れが広がる。
「翔って、感じやすいんだ…」
揶揄かうようなJは、薄く笑っている。
恥ずかしい///
ぎゅっと目を閉じたけど、熱い視線は全身で感じる。
Jのあの綺麗な指が、俺の胸の先を甚振っていると思うだけで、ゾワゾワとした快感が背筋を這う。
手の平でそっと撫でられ、転がすように爪弾かれば、そこはあっという間に硬く立ち上がる。
「……翔……俺を見て……翔…」
強く瞑った目蓋を持ち上げると、
Jの濃紫の瞳が直ぐ近くにあった。
「………J…」
その瞬間、目尻を涙が伝わった。
悲しい訳じゃない。
嬉しい…っていうことも少し違う。
俺の涙の訳を、Jは何も聞かない。
何も言わず、流れた雫を口で受け止めてくれた。
「…翔…好きだ…ずっと好きだったよ…」
甘い言葉を紬ながら、Jは手のひらで、猛るオレをそっと握った。
「……J…」
「翔…泣くな…」
Jが優しければ優しいほど、
なぜだか涙が溢れてきて、どうしようもなかった。
自分でもこんな気持ちに説明がつかない…
ただただ、涙が出てくるんだ。
J………
もっと、荒々しい…っていうか、
自分本位のセックスをするんだと思ってた。
……思ってた…というか、
そんなの想像したことなかったけど。
Jの優しい指先に、彼の施す小さな刺激に、
俺は堕ちていく……
Jという……
謎の男に…
心も身体も、翻弄されていく…