第14章 desire〜欲望〜
シャワールームを出て部屋に戻ると、
Jは、ソファーに浅く腰掛け、頬杖をついてぼんやりしていた。
孤独の色を纏ったかのようなその姿に、
心臓が跳ねた。
考えてみたら、Jがそんな風に一人でいるところは、今まで見たことがなかった
俺と二人の時以外は、いつも取り巻きの連中に囲まれていたし、雅紀やニノも側にいたし…
なんだか、
凄く
淋しそうに見えた…
「お。気持ち良かった?」
「うん…さっぱりした…」
「そっか。じゃ、俺もさっぱりしてこよっかな~♪」
「えっ?」
「翔がスッキリなのに、俺がそのままなのも申し訳ないじゃ~ん(^^)」
……特に意味はないのかもしれないのに、
Jの言葉にドキドキが大きくなった。
「じゃ、待ってるよ~」
「おう」
Jの背中を見送って、
俺はふと思いついて携帯を出した。
今なら…
俺の間違いだったなら引き返せる。
『潤』
電話を掛けて耳にあてると、
そこからは無機質な機械音が流れて来た。
『…電源が入っていないか、電波の届かないところに…』
………潤には繋がらない……
『バイトで出られないから』
潤はいつもそう言っているけど……
だけど………
「お待たせ~♪」
Jがシャワーを済ませて戻ってきた。
濡れた髪が、妙に色っぽくて、
息が詰まる…
心臓が、口から出そうだ。
「何だよ、飲んでなかったの~?
……翔?…どうした?」
立ち上がって、Jを見つめる俺の、
……どんな顔してたのか分かんない…
悲壮感が漂ってたのか?
それとも、泣き出しそうだったのか……
とにかく、いつもと違う俺に気付いたJが、
ゆっくりと近付いてくる。
………
「J!!」
「翔……どうした?」
思い切ってJに抱き付いてみたら、
Jは軽く俺の背中に手を回しただけで、引き寄せてはくれない…
勇気を
出さなきゃ///