第14章 desire〜欲望〜
【翔】
………俺の下で、素直に鳴く潤は、
やっぱりJに瓜二つだった…
違うのは瞳の色と、表情…
全体を纏う雰囲気も違う…
だけど。
肌の色も、
口元の黒子も、
声も……
他人の空似とは、やっぱり違う…
肌を合わせてみて、確信する…
潤は………
Jだ…
でも……
俺はJとはそういう関係じゃない。
ふたりっきりになっても、
Jは俺になにもしてはこない…
前に、Asteriskに来ている仲間の女の子に言われたことがあるんだ。
『VIPで、Jとどうしてセックスしないの?』
驚いて、何も言えないでいる俺に、その子は、
『Jはバイだよ。男も女も、Jに抱かれたいって思ってる子は多いの。だから翔はどうしてそう思わないのかな~?って…不思議なの』
……
……………
『バイ』……バイセクシャル…
知らないとは言わない。
男も女も、どっちも愛せる人のこと。
……俺は…Jとセックスするなら、
受ける方…ってことなの、かな…?
……って///何考えてんだよ俺!
俺には潤がいるじゃん。
そんなことできる訳………
でも…Jは……潤なんじゃ……?
だったらどうして。
どうしてJは、俺のことを知らないんだろう?
知らない振りしている、っていうのとは、
違う気が……
「翔」
「わっ///」
不意に声を掛けられて、驚いた俺は、
椅子から転げ落ちそうになった。
「危ないっ///」
急いでJが俺の身体を支えてくれた。
「翔、何やってんだよ~」
Jの腕に抱かれ、至近距離で見るJの顔は、
とても綺麗で……
やっぱり、Jは……
Jは………
「翔…何て顔してるんだよ!そんなに見惚れるほど、
俺ってかっこいいかな~?」
そう笑いながら、Jは俺の隣に座って、
グラスを傾けた。
………Jを…知りたい……