第2章 幼馴染
晒された、智くんのツルツルの太腿に触れてみたい衝動は何とか抑えて、無理やり写メだけ撮って、メイドカフェを出た。
意外にも人気な模擬店らしく、1組15分と決められていて、部屋を出ると、廊下には行列ができていた。
「面白かったね~♪」
ご機嫌な俺と違って、潤は不機嫌丸出しだ。
「どうだった~?兄上様の女装姿は?」
「…気持ち悪いよ…あんなの…それに…」
口を尖らせながら感想を言った潤は、急に口籠った。
「それに?なんだよ~?」
潤は、非難めいた眼で俺を見て、
「翔くんが…」
「俺~?俺がなんかした~?」
まあ、大体見当はついていたけどね。
潤の目をじっと見つめ返したら、潤は、気まずそうにスーッと目を反らせて俯いた。
「…なんかさ、翔くん…すごい智に触ってたし…ずっと見てたし…嬉しそうだった…」
……ほらね…やきもちだ…
拗ねてそっぽを向いた潤の頬を、人差し指で突っついた。
「なんだよ…」
「え~?可愛いな〜、と思って❤」
俺がそう言ってにっこり笑うと、潤はパッと赤くなった。
「もう~///翔くん、俺のこと馬鹿にしてるでしょ!!」
「バカになんか、してないって!
…潤、大好きだよ❤」
耳元でそう囁いてやると、潤はもっと真っ赤になった。
「翔くん!!そう言う事、こんなとこで、こんな時間から言うなよ~!!」
怒って振り上げた手首を掴んで、俺は笑った。
ホントに…
潤は可愛い…智じゃないけど、弟みたいだし…
守ってあげたいっていうか…
傷付けちゃいけない、大切なな存在、っていうか…
中庭のベンチで戯れ合う俺と潤の事を、
5階の窓から、智くんが見ていたこと、俺達は気付く筈もなかった。