〖イケメン戦国〗新章 燃ゆる華恋の乱❀百華繚乱伝❀
第94章 花盗人と籠の白百合《中編》❀伊達政宗❀
『美依に会ったんですか?』
『おう、面白ぇな、あいつ』
『手を出すと信長様に斬られますよ』
『やっぱり信長の女なのか、美依は』
『正しく言えば、信長様の籠の鳥です。
信長様の一方的な寵愛を受けてる状態』
『……なるほど、籠の鳥なぁ』
『まぁ、接触は程々に…"政宗さん"』
『それは知らねぇ、約束は出来ないな』
美依は信長の籠の鳥。
その情報を得た俺は、今夜も安土城の離れへ向かっていた。
あの夜から──……
たびたび美依の元を訪れては、一緒に茶を飲みながらたわいない話をしている。
世間知らずだとは思ったが、まさか籠の鳥状態だったとは。
つまり『独眼竜』を知らなくて当たり前。
きっと…世論を全て断ち切られている状態なのだろう。
────寵愛って言ったって
んなもんは、本当の愛とは違うと思うぞ
「独眼竜!」
「今夜も来てやったぞ、美依」
俺が部屋を訪れると、美依は相変わらずの可愛らしい笑顔で俺を出迎えた。
にこにこして、本当に嬉しそうだな。
そんなに俺が来るのが、楽しみなのか?
部屋に入ってみると、既に茶の用意がしてある。
完全に俺が来るのを待っていたと言う訳だ。
なんだか、そういう純な反応……
やけに新鮮で、妙に心が踊る。
(可愛いやつだな、顔だけじゃなく性格も)
「今日は土産を持ってきたぞ」
「おみやげ?」
「ほら」
俺が手に持っている風呂敷包みを差し出すと、美依はきらきらと瞳を輝かせた。
それを受け取り、早速包みを開けば…
そこから姿を現した豆大福に、美依は感嘆の声を上げる。
「すごい、おいしそう!」
「だろ?折角だから作ってきた」
「……!貴方が作ったの?!」
「ああ、料理は得意なんだ」
ちょっと得意げに言ってやれば、美依はさらに瞳を輝かせて俺を見た。
しまった、本当に可愛い。
そう思ったら、自然に手が伸び顔が動き。
俺は美依の片方の頬に手を当てると、反対の頬にちゅっと軽く口づけた。