〖イケメン戦国〗新章 燃ゆる華恋の乱❀百華繚乱伝❀
第84章 純愛イノセンス《前編》❀徳川家康❀
「あんた…名前は?」
「美依」
「……っいま、いくつ?」
「十二歳」
「〜〜〜……っ!」
────一体、これは何の冗談だよ
一晩で幼児化した、俺の美依。
しかも…
俺を見て『誰?』と言った。
(ああもう、頭痛い……!)
「お兄さんどうしたの?具合悪いの?」
思わず頭を抱えた俺に、小さな美依が起き上がって心配そうに声を掛けた。
どういう事なんだ、これは。
何故、美依は幼児化した?
一体、誰の仕業だ。
これは妖か、夢なのか……?
ぐるぐると頭を巡る疑問。
答えなんて、無いように思えた。
でも、これは…
俺にとって七夕に起きた奇跡だったのだと。
それをありありと実感することになる。
『美依のたった一人の男になりたい』
そんな願いが、織姫と彦星に届いたのか。
その真実を知るのは、少し先。
この小さな彼女がくれた、
踏み出す勇気と、儚い想い。
今はまだ──……
苦難の幕開けを意味しているだけだったのだ。
純愛イノセンス〖中編〗に続く──……