第6章 寒風
バレーに集中していない訳じゃない。
ただ、この問題を先に解いてしまわないと、次の問題が処理できないってだけで。
なんで和奏と王様が一緒に来たんだろ?
和奏が連絡したのか?
一緒に学校まで来るなんて…僕に見つかるのがわかっているのに?
僕に見せたかったって事?
もしかして…和奏は王様とよりを戻すつもりなんだろうか…。
だから、僕と別れたいと思っているのだろうか。
ここ数週間の和奏の様子を振り返る。
特にそれらしいそぶりは思い浮かばないが…
僕の前で王様と2人で居たことが、何よりそれらしいそぶりじゃないか。
一度陥った最悪の考えから抜け出せないまま、気付けば今日の練習は終わっていた。
「ヘイヘイ!ツッキー!自主練付き合ってくれよー!」
やたらとハイテンションの木兎さんから声を掛けられる。
そう言えば…この人も合宿中に和奏を落とすとか言ってたな。
急に自分の彼氏という立場が不安定なものに思えてくる。
「僕は今日は遠慮しておきます。」
早く和奏と会って確認しないと。
和奏の気持ちが知りたいんだ。