第5章 黒風
それから何度達したのだろう。
木兎さんは何度も私を強制的な快楽に突き落としながら、何度も言って聞かせた。
ツッキーとヤるより気持ちいいんだろ?
和奏、どんだけエロい事になってるか、わかってる?
俺に感じてる和奏、可愛い。
素直になっていいんだぞ。
まるで刷り込まれるように、回らない頭に木兎さんの言葉が届く。
「ぼく…と…さん。もぉ…ゆるし…てくらさい。」
これ以上、素直になれと言わないで下さい。
「じゃあさ…木兎さん、イかせて下さいってちゃんとお願い出来たら、次で最後にしてやるよ。あっ、和奏からのキスもセットだぞ。」
木兎さんのその言葉で、正気を取り戻した。
このままじゃ最後までヤられちゃう。
それでもいいと思い始めていた自分に言い聞かせるように言葉を絞り出す。
「…ダメ…です。それ…だけは…ダメ。」
一瞬キョトンとしたあとに、木兎さんが説得するように言い聞かせる。
「じゃあ、朝までイき続けるんだぞ?あっ、大丈夫!イかせてってお願いしたって、本番はしねぇよ。そっちは和奏が本気で欲しいと思ってから。」
本番は…しない…?
本当に??
じゃあ、木兎さんは何の為にこんな事してるの…?
木兎さんに顔を向けると、想像していたより真っ直ぐな木兎さんの瞳に捕らえられて…まるで自分が間違っているような気持ちになる。
「あのさ…冗談でやってるんじゃないんだよ。俺だって本気でやってんの。本気で和奏を俺の物にしたい。俺の隣に置いて、すっげぇ大切にしたい。好きなんだよ、和奏の事。だから、和奏との初めてはちゃんと両想いになってからって決めてんだよ。」
え…?
本当に木兎さんは私の想像や理解の範囲を軽く超えている。
好きだと…言った?
無理矢理こんな事を始めておいて…大切にしたいと?
でも、木兎さんの瞳には嘘や戦略は感じられない。
そんなに真っ直ぐ見つめないで。
蛍の顔が思い浮かぶ。
蛍…。私…。
「だから、今は安心してお願いしろって意味!」
素直になれ!俺が受け止めてやるから!
木兎さんの瞳がそう語りかけてくる。