第5章 黒風
「俺のキス、いいでしょ?気持ちよくなってきた?」
腰がそわそわするのを感じる。
キスでこんなに気持ちいいのは初めてだった。
木兎さん、石鹸の匂いがする…。
そんな事を考えていた酸素不足の脳みそをフル回転させる。
「ぼく…とさん、やめてください。」
何のためにこんな事をしてるのか検討もつかないから…何を言えばやめてくれるのかも全くわからない。
木兎さんは楽しそうに私を見ると、またすぐに唇を塞いだ。
や…だぁ。
このキスが続いたら、いつかこっちが我慢できなくなるんじゃないかと思うと怖くなる。
蛍…。蛍…。
心の中で呼ぶけれど、浮かんでくるのは先程の冷たい笑みを浮かべた蛍だけだった。
そんな私をあざ笑うかのように木兎さんの手が下着の中に進入してくる。
いや…キスに感じてしまっていたのが…バレる。
「ん…んんーっ!!」
予想外に一度に2本差し込まれた指が、膣の中をめちゃくちゃにかき回していく。
それまで耐えていた声を抑える方法がわからなくなるくらい感じていた。
「そろそろ気持ちよくなってきた?」
木兎さんがゲームでもしているかのように楽しげに尋ねてきた。
そんな事、わざわざ聞かなくてもわかっているくせに。
「や…。や…めて。やだ…。」
長く続いたキスで酸素不足の私は途切れ途切れに伝える事しか出来ない。
「うーん。強情なところも可愛いけど…せっかくなら可愛く鳴いて欲しいのに。あっ、一回イッとく?」
最悪の提案だ。
「や…だぁ。イか…ない…。」
蛍以外の手でイく訳にはいかない。
そんな事になれば…本当にもう蛍と向き合えない。
「あっ、ごめん。提案じゃないんだ。皐月ちゃんがイくの決定事項だから。」
「や…だめぇ…。」
ダメだ。ダメだ。
心の中でそう唱えているのに、襲いくる快楽に全てを投げ出したくなる。
その時、木兎さんが私の奥の一点を捉えた。
ビクっと身体が強制的に反応させられた気がした。
…何?今の…?
あんな強制的な快楽を私は知らない。
「あれ?その反応は…まさか、ツッキーも未開拓のスポットだった?いいねぇ。俺だけが知ってる皐月ちゃんのイイところで、イかせてやるよ。」
「や…だ…め…。そんな…の…あっ…ああぁぁ。」
蛍…。
達する前に心の中で名前を呼んだ。
蛍…ごめんなさい。