第4章 順風
「なんで…こんな事したんですか?」
やっぱ…やり過ぎたよなぁ…。
目の前で泣いている和奏を見ながら、頭を掻く。
「なんで…って…やりたかったから。和奏の事、何も考えられないくらい感じさせてやりたかった。ツッキーより、俺の方が気持ちよくしてやれるって知って欲しかった。」
「こんな…冗談でも酷いです…。」
「それだよ…。いつも冗談扱いしてさ…俺の事は安全パイだとでも思ってた?さっきも言っちゃったけどさ、俺は本気だよ。本気で和奏が欲しい。俺だけの物にしたいし、ここまで来たら手段は選ばない。」
「…。」
困惑顔の和奏。
こんなに困ってる彼女に手段を選ばないなんて…自分でも酷いんじゃないかと思う。
でも、ここで引いたら嫌われて終わるだけだ。
レイプ未遂だし…。それはヤバい!
「最初の質問って覚えてる?ツッキーに隠し事せず、なんでも打ち明けられるのか?って。この事…ツッキーに話せんの?」
和奏が信じられないという目でこちらを見る。
「な…言える訳ないじゃないですか。」
「だよね。自分から俺にイかせてくれってお願いして、キスまでして…何度もイかせてもらいました…って、流石のツッキーも彼女からそんな事聞かされたら可哀想だな。」
「お願いは…木兎さんが…無理矢理…。」
「別に拒否しても良かったんだよ?俺、強制はしてないよね?まぁ、和奏は言えなくても、俺はツッキーに言えるよ?何度も可愛く喘がせてやったって。お願いも最高に可愛かったって。」
和奏の涙が更に大粒になる。
「やめて…下さい。それだけは、言わないで…。」
「いいよー。別に俺、和奏とツッキーの仲を自らの手で引き裂く気は無いんだよね。まぁ、2人はいづれ上手く行かなくなるだろうし。和奏がたまに俺の言うこと聞いてくれれば、今はそれだけで十分。」
泣いてる和奏を抱きしめる。
泣かせてるのは俺なのに、慰めてやりたいなんて、おかしな話だ。
和奏は俺の言葉の意味がわかったのか、抵抗する事は無かった。
ただ腕の中で和奏が「最低…」と呟いたが、聞こえないフリをした。