第15章 花風
合宿もあっと言う間に最終日だ。
本当…最悪な合宿だった。
和奏はあの後も、何度か話したそうにしていたけど…僕はとてもそんな気分になれない。
子供っぽいとは思うけど…向き合うだけで和奏を手放した事を後悔しそうになる自分と向き合うのが怖い。
木兎さんとは、話すと歯止めが効かなくなって暴力でもふるいそうな気がするから、逃げ回っている。
まぁ、試合で逃げるわけには行かないから、何度かネット越しに対峙してるけど…相変わらず絶好調で…腹が立つの通り越して、自分が情けなくなってくる。
しかも、自主練に誘って来るとか…木兎さんが僕なんて相手にもしてない事が嫌ってほど伝わってくる。
誘われたって行くはずないけど。
黒尾さんに至っては、そんな僕を呆れた様子で見ているのがわかる。
きっと、注意してやったのに、何やってんだ?ってところだろう。
本当….何やってるんだろ?
和奏が僕以外の人を好きになる事なんて…考えても居なかった。
少し考えてみれば容易に想像出来るシチュエーションなのに、僕が思い上がっていたんだろうか。
「あの…ツッキー。バスの席どうする…?皐月さんと乗るなら、僕は日向達と…。」
山口がこちらを覗き込んでくる。